フルハシEPO株式会社

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サステナビリティ

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代表取締役社長写真

 当社は2022年4月に東証スタンダード市場及び名証メイン市場へ上場いたしました。上場への準備期間、そして上場後の2期を経て、社内が大きく変わったと感じます。それは、体制構築や制度整備の面にとどまりません。会社を支える従業員の「意識」もまた変化しています。
 当社の基幹は木材チップの製造拠点である各工場です。工場長をはじめ工場勤務の従業員皆が「上場企業にふさわしい工場でなくてはならない」という意識とプライドを持って業務にあたっていることを強く感じます。何よりも優先される安定した品質の製品製造、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」に「セーフティ」を加えた6S活動の実践、お客様をお待たせしない、また心地よくご来場いただくための挨拶やサービスの工夫に一段と高い意識を持っています。それに加え、作業効率の向上や省エネ、温室効果ガス(GHG)削減のための新たなアイデアや改善提案等、従業員一人ひとりが「会社の顔である工場を自分たちが作っている」という自覚を持っています。
 こうした姿勢がまさに当社の業績を積み上げているのであり、各工場の努力・貢献には、経営者として本当に頭が下がる思いです。言うまでもなく、他部門の従業員においても同様、一人ひとりがそれぞれの立場で会社を作り、成長に貢献しています。
 当社は、1947年にまだ20代の青年であった創業者 故山口昭一が立ち上げた小さな製函工場からスタートしています。創業からの四半世紀は新たな商材の開発・展開、大口顧客の獲得、伊勢湾台風での被災、木質再資源化事業への進出、現在に続く基幹工場の開設と激動の時代でした。その時代においても、当社の大きな「財産」は常に未来を見据え挑戦する開拓者精神と、なによりも志を同じくする従業員であったでしょう。今後も、創業時から受け継ぐスピリットを大切に、未来に向けてグループ一丸となって歩んでいく所存です。

 2023年度を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済・社会活動の正常化が進むとともに、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化による資材・原料価格の上昇、資源・エネルギー価格の高止まり、円安の進行や物価高等、景気の先行きは依然として不透明な状態が続いています。
 そのような経済情勢の中、当社グループはバイオマテリアル事業と資源循環事業の中心的な事業における拠点の拡大・拡充を進めた結果、当連結会計年度の売上高・営業利益・経常利益において4期連続過去最高を達成することができました。売上高は前連結会計年度比8.4%増の87億5,362円、営業益は10億3,968万円で前連結会計年度比23.9%増、経常利益は前連結会計年度比18.7%増の12億4,618万円となりました。
 これらの要因としては、まず2022年に開設した2つの工場、岐阜県大垣市の岐阜第二工場と埼玉県入間市の西東京工場が非常に順調に稼動していることが挙げられます。新しいエリアにおける量的拡大の経営戦略が売上増につながっています。
 また、円安等による輸入燃料(PKS:パームヤシ殻、ペレット)の価格高騰の影響により国内の木材チップへの需要が増加していることです。バイオマス発電所の燃料には、輸入燃料・間伐材・国内燃料チップがあります。PKSの価格について、2017年は1t当たり約1万1,400円でしたが、2023年は2万円を超えています。輸入燃料ではバイオマス発電所の収益が非常に厳しくなってきたと言えます。当社の事業は国内で木質廃棄物を再資源化した燃料チップを製造していますが、現在これらの燃料チップの受注は増加しています。
 セグメント別の状況としては、当社の主力事業であるバイオマテリアル事業が売上高62億7,535万円(前連結会計年度比12.7%増)、資源循環事業がセグメント売上高15億6,117万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。資源循環事業の売上高はほぼ横ばいとなっていますが、2023年8月に新拠点となる千葉県柏市の柏リサイクルガーデンが稼働を開始しており、今後はプラスに影響してくると考えています。

 当社はさらなる成長と飛躍を目指し、2025年3月期を初年度とし、設立80周年となる2028年3月期を最終年度とする4ヶ年の中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」を策定いたしました。当社は木質資源の有効利用のリーディングカンパニーとして、木質資源を軸にしたサーキュラーエコノミー・再生可能エネルギー時代を牽引してまいります。そして設立80周年に向け、国内木質バイオマスの量的拡大を図り、木質バイオマス発電・熱利用等、木質バイオマスの付加価値化に挑戦します。これまでも社内的には中期の目標は存在しましたが、このように「中期経営計画」として公表するものとしては今回が初めてとなります。
 当社の中期経営計画は4ヶ年としていますが、ある程度見通せる期間でゴールを定めることで、「1年後にはどの地点にいないといけないか」「そのためには今何をしなくてはいけないか」が明確になります。経営層だけでなく、全従業員が2028年のゴールを意識して自ら動きだす、そういった効果も期待しています。従業員が経営者と同じ目線で業務に取組むことができれば、フルハシEPOはより一層強靭な組織になります。目標に向かって主体的に行動することは、先に述べた「自分が会社を作る」という意識そのものであり、従業員が楽しく、充実感を持って仕事ができることにつながると考えています。
 中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」の中心戦略は事業の量的拡大、すなわち再資源化工場の増強です。4ヶ年合計で約100億円を投資し、中日本及び東日本を中心に工場を新設、年間100万tの木質バイオマス取扱量体制を目指します。現在の取扱量が年間約55万tですから、ほぼ倍増という意欲的な目標です。新規工場開設計画は順調に進捗しており、2024年10月には愛知県一宮市に愛知第八工場、次年度には名古屋工場(仮称)、神奈川県平塚市に湘南リサイクルガーデンが開設予定です。
 この中期経営計画を達成するために、当社では2024年4月に組織改編を行いました。新たに私を本部長とする「経営戦略本部」を新設し、既設の管理本部、営業本部、生産本部と併せ4本部制としました。経営戦略本部には既設の経営企画部のほか、当社が今後の経営戦略の肝だと考える「事業開発部」と「サステナビリティ推進室」を新設しています。新経営体制の下で経営基盤を強化するとともに拠点展開のスピードを加速させ、さらなる事業拡大と企業価値の向上を図ります。

中期経営計画

 先ほど述べたように、新体制では経営戦略本部の下にサステナビリティ推進室を置いています。当社は資源循環や再生可能エネルギー推進に直接的に携わる企業ですから、本業を拡大していくことがサステナブルな社会の構築につながっています。
 一方で、ESGへの真摯な取組みが企業のサステナブルな成長には不可欠であることも認識しています。
 当社では気候変動対策としてのカーボンニュートラルについては特に力を注いでおり、「2030年までにScope1+2排出量※を50%削減し、フルハシEPO100周年の2047年にカーボンニュートラル達成」という目標を策定しています。2022年には代表取締役副社長を責任者とする「カーボンニュートラルプロジェクト」を立ち上げ、事業活動に伴うGHG排出量の把握と省エネ診断の実施、製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施といった精密な現状把握に加え、省エネ性能が高い設備への入れ替えの推進、工場重機の電動化、CO₂フリー電力の導入拡大、より環境性能の高い営業車両への切り替え等のGHG排出量削減対策に順次取組んでいます。
 人財の確保・育成、ダイバーシティの推進も重要な課題です。当社は業種柄歴史的に男性が多い企業ですが、私個人としては、女性や若い世代にも経営に近いポジションで活躍してもらいたいと考えています。また、当社では従業員へのアンケート結果も踏まえ、2024年4月に従来62歳であった定年を65歳まで延長しました。今後も従業員の声にしっかりと耳を傾け、性別、年齢、国籍、障害の有無等様々な背景を持つ従業員が、それぞれに合った形で働き、個々の力を存分に発揮できる柔軟な制度作りを進めてまいります。
 また、これは当社に限ったことではありませんが、自然災害は企業経営のうえで避けて通れないリスクです。当社ではBCP(事業継続計画)を策定し、自然災害時にも事業継続のできる体制を整えていますが、社会のインフラを担う企業として社会生活の継続にも尽力しなくてはならないと認識しています。ひとたび大地震が起きれば、倒壊した家屋等の廃木材、いわゆる災害廃棄物が大量に発生します。このような災害廃棄物の受け入れ等、地域社会の安心・安全を守るために当社ができることについて考え、行政等と災害時連携体制を構築していくことも今後進めていきたいと考えている課題です。
 当社の事業は、環境保全、資源循環、カーボンニュートラルといった社会が抱える課題に直結するものです。今後も世の中に真に必要とされることにフォーカスし、企業経営に取組むことが社長としての私の責務だと考え、力を尽くしてまいります。ステークホルダーの皆様には、フルハシEPOの成長に大いにご期待いただくとともに、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

※Scope1・・・燃料の使用や工業プロセス等において事業者自らが直接排出するGHG
 Scope2・・・他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴って間接的に排出されるGHG

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