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サステナビリティ
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2022年4月の上場から、早くも3期が経過しました。おかげさまで、当社は2025年3月期まで5期連続で売上高・営業利益ともに過去最高を更新し続けています。このような成長を実現できたのは、日頃よりご支援を賜っているお客様、お取引先様、そして日々誠実に、向上心を持って業務に取組んでいる従業員のみなさん一人ひとりの努力によるものと、心より感謝申し上げます。
当社は2024年5月、設立80周年を迎える2028年3月期を最終年度とする初の中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」を発表しました。この中期経営計画の中心戦略は、バイオマテリアル事業の「量的拡大」にあります。
「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」では、再資源化工場の大幅な新設と機能強化を通じ、年間100万t 規模の木質バイオマス取扱量体制の構築を目指しています。現中期経営計画の4年間で総額約100億円の設備投資を予定しており、中日本及び東日本エリアの拠点拡大を進めます。
当社はまもなく設立80年を迎える企業でありながらも、上場という転機を経て第二の創業期とも言える挑戦のフェーズに突入しました。今まさに成長の真っただ中にあり、積極的な投資を進めることにより、長期的な視野に立って持続的な成長を目指しています。
私は、中期経営計画の1年目を成長準備期間、2年目を成長投資期間、そして中期経営計画後半を成長加速期間と考えています。中期経営計画の2年目に入りましたが、現在当社グループの既存工場は中日本エリアに15ヶ所、東日本エリアに6ヶ所、合計で21ヶ所となっています。当社の事業は、拠点が増えて売上が伸中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」の進捗と戦略的拡大びるほど利益率が向上するビジネスモデルとなっています。中期経営計画の期間中に16ヶ所以上の工場新設を予定しており、2024年10月稼働の愛知第八工場(一宮)のほかにすでに11ヶ所の新工場が具体的な準備に入っており、着実にその歩みを進めています。
ただし、当社のビジネスモデルは一般的な製造業とは異なり、工場稼働と同時にフル稼働へと即座に移行できる性質のものではありません。私たちの事業は、木質廃棄物の受け入れ・処理による処理売上と、再資源化した木材チップ製品の販売売上という「ダブルインカム」モデルが特徴です。このモデルの実現のため、工場稼働には排出事業者様からの信頼を得て処理のご依頼をいただく営業活動が不可欠です。そのため、設備投資に対するリターンがすぐに数字に表れるわけではなく、段階的に成果が現れる構造となっています。
当社ではこの「タイムラグ」をいかに短縮できるかを重要な経営課題としています。そこで、新設される工場においては、初期段階から集中的な営業活動を展開することで、稼働率100%達成までの期間を短縮するという戦略的アプローチをとっています。こうした取組みを通じて、中期経営計画を着実に遂行します。
2024年度、当社は売上高93.8億円(前年同期比107.2%)と、堅調な成長を遂げました。
セグメント別では、バイオマテリアル事業においては、2022年5月に稼働した岐阜第二工場(大垣)、2022年11月稼働の西東京工場(入間)、2024年10月稼働の愛知第八工場(一宮)の拠点増が業績に寄与し、大きく伸長しました。2025年1月より開始した能登半島地震の被災地からの災害廃棄物の受け入れも、原料調達量の増加を後押ししています。
一方、資源循環事業では、主要顧客である大手住宅メーカーにおける新規住宅受注の確保が難航したり、分譲戸建て住宅の新規着工が伸び悩んだり等、厳しい外部環境が続きましたが、当社は営業の強化や取引シェア及びインナーシェアの拡大に注力し、受注量の確保に努めました。
変化の激しい市場環境の中でも柔軟かつ戦略的に成長の礎を築き、中期経営計画に掲げた事業戦略を着実に進めています。

2025年度も過去最高の業績を予想する中、経営者として改めて「当社の強みとは何か」を自問しました。この問いは、成長の歩みを続ける今だからこそ、より一層真剣に向き合うべきものだと考えています。
当社の強みとは、木質資源に関する積み重ねてきた知見や技術と、「世の中が本当に必要とするサービスを、適切なタイミングで提供してきた柔軟性と先見性」にあると確信しています。
この姿勢は、当社の経営理念である「世のため 人のため 地球のため 社員のため 持続可能な社会を創造します」に表されています。過去を振り返ると、私たちは常に時代ごとの社会課題や変化する環境問題に真摯に向き合い、木質資源に関する専門性と実行力をもって、それらに応えるサービスやソリューションを開発し提供してきました。これは、当社が単なる木材関連企業にとどまらず、持続可能な社会づくりに積極的に貢献する存在として、自らの役割を果たしてきた証でもあります。
では今、私たちに求められている社会的な役割とは何か。そして、フルハシだからこそ果たせる使命とは何か。私たちは今、国内の木質資源の循環利用を、より一層強力に推進していくべき局面にあると考えています。限りある資源を有効に活用し、再資源化することは、環境負荷の低減と地域経済の活性化の両立に資する取組みであり、持続可能な未来を支える重要な要素です。
国内における木質バイオマスの発生量に目を向けると、その総量は年間で一千数百万tにものぼるといわれています。その内訳には産業廃棄物としての木材、一般廃棄物に含まれる木質素材、林地残材、伐採残材等、多様な形態が含まれており、未利用のまま廃棄されてしまっているものも少なくありません。当社が中期経営計画で掲げている取扱量100万tという数値は確かに大きな挑戦ではありますが、我が国の木質バイオマスの賦存量にはまだまだポテンシャルがあり、これらの資源を有効に、循環利用することが肝要です。
近年顕在化している「空き家問題」もまた、私たちが貢献できる社会課題のひとつです。全国各地で急増している空き家は、住居としての役割を終えた木材がそのまま取り残された状態でもあり、見方を変えれば「使われていない木質バイオマスの塊」でもあります。こうした空き家を安全かつ適切に解体し、木材をチップ化してバイオマス発電に活用することができれば、空き家がもたらす防災・防犯上のリスク、景観や衛生の悪化といった社会問題を解消しつつ、再生可能エネルギーの供給源としてエネルギー自給率の向上にも貢献できます。まさに、環境と社会の両面に対してポジティブな影響を与えるでしょう。
私たちはこれからも、「フルハシがいてくれてよかった」「フルハシがなければ困る」と地域や社会の皆様に心から思っていただけるような存在を目指してまいります。単に木材を取扱う企業ではなく、社会課題の解決を担う「木質バイオマスのプロフェッショナル」として、常に高い志と挑戦する心を持って前進し続けます。
当社はビジネスの拡大・成長と並行して、その成長を下支えする経営基盤の強化にも注力しています。持続可能な社会の実現に向けたESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みは、当社の経営においてますます重要性を増しています。
当社がステークホルダーの皆様、また広く社会に対して発信しているメッセージとして「Create Sustainability for OurFuture」があります。これは、「環境で未来を創造する」という当社の決意を示したものです。
当社は、木質資源の循環を軸とするビジネスモデルにより、気候変動対策やクリーンエネルギーの普及、資源の有効活用といった社会課題の解決に直接的に貢献しています。そうした点では、当社の事業そのものがサステナビリティと結びついているという自負があります。
しかし、事業の社会的意義が高いものであったとしても、それを担う組織や人、そして意思決定のプロセスが持続可能でなければ、企業としての真の信頼や成長は得られません。だからこそ、私たちは社内にESGの視点を根づかせることを強く意識しており、中期経営計画では再資源化工場の新設をはじめとする量的な成長を掲げる事業戦略とともに、ESGにかかわる各項目において課題と目標を設定したサステナビリティ戦略を策定しています。
その戦略を堅実なものにするため、2024年4月には「サステナビリティ推進室」を新たに設置しました。当社では、これまでもCO₂排出量の可視化と削減、廃棄物削減、省エネ推進等の環境面での取組みに加え、働き方改革や女性の活躍推進といった社会性への取組み、社内規程や内部統制の整備等のガバナンス強化にも、個別に取組んできましたが、新設したサステナビリティ推進室では、これらを点から線へ、線から面へとつなげ、「マテリアリティ(重要課題)」と中期経営計画で掲げた方針との整合をとりながら、サステナビリティ戦略を構造的に整理していきます。まだ道半ばではありますが、各部門との連携を深めながら、実効性ある戦略へと昇華させていくことを目指しています。
もう一つ、近年特に注力しているのが、コーポレート・ガバナンスの改革です。当社は、2025年6月開催の株主総会において「監査等委員会設置会社」への移行を決議しました。2024年には新たに女性の社外取締役を1名迎えており、2025年6月現在、当社の取締役は9名中4名が独立社外取締役、2名が女性と多様性のある構成となっています。社外役員には、法律や会計といった専門的な知見はもちろんのこと、これまで当社にない価値観や視点が提供されることによって、より深みのある議論、より質の高い経営機能を実現し、また客観的立場から業務執行の監査・監督されることを期待しています。
監査等委員会設置会社への移行により、取締役会における監督機能をさらに高めつつ、経営判断の迅速化と柔軟化を実現してまいります。
ESGの観点からの経営基盤強化は、まさにこれからが本番です。企業としての未来に責任を持ち、社会との信頼関係を一層深めながら、成長の歩みを着実に進めてまいります。
当社はこれまで、長期的な企業価値の向上を目指し、事業基盤の強化と社会課題の解決の両立に取組んでまいりました。加えて今後は、資本コストや株価といった観点をこれまで以上に経営に織り込んでいくことが不可欠であると認識しています。
その実現に向けて、2025年5月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、資本効率や株主価値の向上を経営判断に的確に反映させるための基盤整備に着手しました。今後も、資本の効率的な活用により各事業の成長性を高めるとともに、株主・投資家の皆様との対話を通じて当社に対する理解促進に努め、真に価値ある企業を目指して邁進してまいります。
社会環境が一層不確実性を増す今日、私たちは変化を前向きに捉え、自社の強みを最大限に活かしながら、社会とともに成長する企業であり続けたいと考えています。この変革と挑戦の歩みを支えるのは、社員一人ひとりの力です。全社一丸となり、同じ志のもとで取組む体制を築いています。
今後の当社の歩みに、引き続きご期待いただければ幸いです。
Fuluhashi EPO Corporation since 1947