環境Environment
サステナビリティ
カーボンニュートラルへの取組み
持続可能な社会を目指す当社にとって、事業の成長とともにカーボンニュートラル実現を達成することは重要な役割であると捉え、全社的な取組みを推進しています。
カーボンニュートラルプロジェクト
当社は持続可能な社会を目指す企業として、気候変動を含む環境・社会課題並びに人材の多様性の確保を含む人材育成を経営上の重要事項として捉えています。脱炭素社会の実現への取組みとして、2022年に「カーボンニュートラルプロジェクト」を立ち上げました。
本プロジェクトでは当社及び当社グループにおける事業全体でのGHG(Scope1,2,3※)排出量の算定、特に優先して取組むべき事業所及び関連する事業活動を選定し、より効果的なカーボンニュートラル実現へのマイルストーンを設定しています。
※ Scope1・・・燃料の使用や工業プロセス等において事業者自らが直接排出するGHG
Scope2・・・他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴って間接的に排出されるGHG
Scope3・・・Scope1, 2以外に間接的に排出されるGHG(事業者の活動に関連する他社が排出するGHG)
カーボンニュートラル推進体制
本プロジェクトは代表取締役副社長を責任者とし、各部署より選出された担当者によって構成されています。各部の担当者を通して現場からも意見の吸い上げを行い、プロジェクトミーティングでの情報共有や、Scope1,2,3排出量の算定に必要な資料の回収を行います。
2023年度は報告会を2回実施し、プロジェクトの進捗状況やScope1+2排出量削減の計画案等を責任者である代表取締役副社長に報告し、今後の方向性を協議しました。Scope1+2排出量削減に向けて、報告会で承認を得た設備投資や運用改善を実施しています。そのほか、グループ会社説明会を開催しScope3排出量把握に向けた対応を協議するとともに、経営会議においても進捗状況を経営層に報告することによって、グループ全体でより効果的・確実なカーボンニュートラル達成に向けた対策を実施しています。

カーボンニュートラル目標
当社は日本政府の脱炭素実現年である2050年よりも3年早く、創業100周年となる2047年にカーボンニュートラル達成※を目標としています。さらにそこからバックキャストし、2030年のGHG排出量※を2019年度比で50%削減することを目標としています。
この目標達成に向け、本プロジェクトでは「現状把握」と「対策実施」の2項目に大別して、活動を実施しています。まずは現状把握として、事業活動に伴うGHG排出量の把握と、省エネ診断及び製品LCAを実施します。そして対策実施として、省エネ性能が高い設備への入れ替えの推進、工場重機の電動化、CO₂フリー電力の導入拡大、より環境性能の高い営業車両への切り替え等に順次取組みます。
※ Scope1,2排出量の合計を対象としています。
Scope2排出量はマーケット基準を採用しています。

2023年度の取組み実績
■ CO₂フリー電力の導入
2019年4月より、愛知第七工場(半田)において、再生可能エネルギー(電力会社が保有する水力発電等の再生可能エネルギー電源)に由来するCO₂フリー価値付き電力を使用しています。重機稼働に燃料を使用しているため一定量のCO₂排出がありますが、当工場においてはCO₂フリー電力導入前の2019年度と比較し、2023年度はCO₂排出量を64%削減できました。
■ 電動重機導入の促進
工場にて使用している一部重機について、従来の化石燃料を使用するものでなく電動のものを使用しています。
■ 省エネ診断の実施及び省エネ施策
2023年には愛知第一工場(春日井)、愛知第二工場(弥富)、飛島リサイクルパーク、千葉リサイクルランドにて省エネ診断を実施しました。省エネ診断によって具体的な施策とその効果が明確になることで、現場のモチベーション向上につながりました。
さらに、愛知第一工場(春日井)については「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進支援事業費補助金」を使用し、変圧器を省エネルギー性能が高い最新のものへ切り替えました。

CO₂排出量の推移(Scope1+2)
2023年度のScope1+2排出量は4,884t-CO₂eとなり、前年度から14%増加しました。分類別では、新拠点開設に伴い木材チップ生産量が増加したことにより、Scope1排出量は2,694t-CO₂eとなり、前年度から112t-CO₂e増加しました。また、拠点増加に加えて岐阜第二工場(大垣)で重機の電動化に取組んだことにより、Scope2排出量は2,190t-CO₂eとなり、前年度から490t-CO₂e増加しました。木材チップ生産量当たりのScope1+2排出量は10.0kg-CO₂e/tとなり、前年度よりやや増加しました。
拠点展開・事業拡大に伴い近年のScope1+2排出量は増加傾向にありますが、カーボンニュートラル目標達成に向け省エネやCO₂フリー電力への転換等の対策を検討し、全社的な削減取組みを推進します。

環境報告
環境理念
私たちは地球環境と未来の子どもたちのために、再生可能な資源・エネルギーのポテンシャルを引き出し、
最大限に活用することによって持続可能な社会の実現を目指します。
環境経営方針
当社は事業の推進に当たり、よりグリーンな経営、生産活動を目指す取組みの基本方針として以下を定めています。
基本方針
1.事業活動、製品及びサービスが環境に与える影響を的確に捉え、技術的・経済的に可能な範囲で環境目的・目標を定め、見直しを行い、
環境マネジメントシステム及びパフォーマンスの継続的向上を図ります。
①木質バイオマスの重要性を認識し、積極的な活用を推進します。
②全ての部門で、ムリ・ムダ・ムラを削減、省資源・低エネルギーを推進し、業務の合理化を図ります。
③従業員が健康に働ける職場環境を整えるとともに、環境教育の機会を提供し一人ひとりが環境への意識を向上し、環境保全活動を進めていきます。
④環境情報の開示や発信を通して、ステークホルダーとの信頼関係を築きます。
⑤食の安全保障、再生可能エネルギーの創出、生物多様性の保全、資源の活用と地産地消に努め、持続可能な社会づくりのために必要な活動を展開します。
2.法規制の遵守はもとより、自らの責任において高い目標を設定し、その実現に努めていきます。
3.環境への汚染をゼロに近づけるため、いっそうの環境保全に取組みます。
4.この方針を達成するために、「環境安全衛生委員会」を組織し、全員参加で環境活動を推進します。
5.この方針は広く一般に公開します。
環境マネジメント
当社は2012年よリエコアクション21(以下、EA21)を導入しています。EA21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムであり、PDCAの手法に基づいて組織や事業者等が環境活動を自主的かつ継続的に改善を行うための方法を定めています。
当社では環境マネジメントを継続的に推進するための組織、役割及び責任を定めています。特に毎月開催する環境安全衛生委員会における環境活動は、このEA21を主軸としています。EA21の要求項目に合わせて目標や活動内容を定め、各拠点での活動状況や拠点独自の取組み内容のとりまとめ、エネルギー使用量実績等の数値変化を情報共有し、改善を繰り返し行うことで、当社全体での継続的な環境負荷低減を目指しています。
2023年10月時点での中間審査では、新設工場を除く18拠点でのEA21認証継続となりました。当社は引き続き全拠点でのEA21認証取得に向けて取組みます。

環境安全衛生委員会
当社の環境・安全衛生活動を全社にて実施・浸透・共有させるため、毎月1回環境安全衛生委員会を開催しています。当委員会は代表取締役副社長を委員長とし、各部署より活動推進・報告者並びに委員を選任し、省エネルギーを推進する『環境』と、労働環境の整備と事故防止を推進する『安全衛生』について、年間計画に基づいた活動を行っています。そのうえで各部署での活動状況についての報告や、改善状況の共有も行っています。このほか、3Rの推進、環境法令のチェックや全体の評価等、EA21の項目に沿ったものや、防災訓練や不安全行動の撲滅、作業環境の整備等も行っています。
上記のような実務的な活動だけでなく、従業員の環境意識向上のため、当委員会を通して定期的な環境教育も実施しています。2023年度は各拠点担当者に向け、EA21の活動を行うに当たって必要な知識や審査時の対応についての動画研修を行いました。また、新任者に対する各拠点での数値管理や、計画書への記入・目標設定・評価方法についても説明を行いました。

事業活動にともなう環境負荷の全体像
当社では事業活動に伴う原材料、資源やエネルギー等の使用量及び環境負荷を、INPUT→OUTPUT(インプット・アウトプット)データとして把握し、さらなる環境負荷低減、再資源化率の向上に向けて様々な取組みを進めています。
よリグリーンな経営、生産活動を目指すことを環境経営方針に掲げ、全社的なカーボンニュートラル推進にとどまらず、各拠点においても「上下水道の使用量削減」「ムリ・ムダ・ムラの削減」「省資源・低エネルギー化」を推進しています。


水使用量の削減
2023年度の水使用量は59,022㎡となり、前年度から12%増加しました。当社における水の主な用途は、木材チップ生産時に発生する粉塵を抑えるための散水です。新拠点開設で木材チップ生産量が増加したことにより水使用量も増加しましたが、木材チップ1t当たりの水使用量は前年度からほぼ横ばいで推移しました。水使用量の削減のため、漏水箇所修繕や雨水利用等の対応を進めます。

再資源化率の向上
バイオマテリアル事業の再資源化率は2023年度まで100%を達成しています。資源循環事業においては、柏リサイクルガーデン開設により業務の効率化がなされたため、前年度から2.1%向上して83.5%となりました。
今後も日々処理方法等の改善を図り、バイオマテリアル事業の再資源化率100%を維持するとともに、資源循礫事業における再資源化率向上に努め、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

再資源化できない廃棄物の削減
資源循環事業において当社が受け入れた廃棄物のうち、再資源化できない廃棄物は中間処理(焼却)又は最終処分(埋立)することで適正に処理しています。2023年度の廃棄物(焼却+埋立)量は3,774tとなり、前年度から14%減少しました。これは柏リサイクルガーデン開設による集荷と選別作業の効率化により、再資源化率が向上したためです。今後も再資源化率の向上、ひいては廃棄物の削減に取組みます。

個別の取組み
2024愛知環境賞 銀賞受賞
愛知環境賞は2005年に創設され、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルに関する取組み等、資源循環や環境負荷低減を推進する先駆的で効果的な愛知県内の「技術・事業」「活動・教育」の事例を募集し、優れた取組みを表彰するものです。
当社は「木質バイオマスのカスケードリサイクルにおける独創的技術体系による産業化と業界の牽引」をしています。当社は、木質廃棄物の再資源化とその利用の拡大を図るとともに、バイオマス発電へ参画しています。さらにこの木質バイオマスのカスケードリサイクルの産業化を当社だけでなく、認定NPO法人全国木材資源リサイクル協会連合会へと発展させました。愛知環境賞においては、壊境を総合的に捉え、地球環境保全に努めてきたことが、持続可能な社会の実現に大きく貢献するものと高く評価され銀賞を受賞しました。

優良産廃処理業者に認定(岐阜県・千葉市・広島市・神奈川県の新規認定)
優良産廃処理業者認定制度とは、通常の許可基準よりも厳しい塞準に適合した優良な産廃処理業者を、都道府県・政令指定都市が審査して認定する制度です。認定を受けた産廃処理業者は、遵法性や事業の透明性の高さはもちろん、環境に配慮した事業活動を行っており、財務内容も安定していると行政に認められたこととなるため、お客様にとっても安心してお取引いただく判断材料になります。
当社はこれまで、三重県(2019年5月)、静岡県(2020年4月)、千葉県(2021年6月)、豊田市(2021年12月)、愛知県(2022年1月)の優良認定を受けていましたが、この度、岐阜県(2023年10月)、千葉市(2023年10月)、広島市及び神奈川県(2024年4月)も新たに加わり、計9件の優良認定を受けています。
引き続き全拠点での優良認定取得に向けて、事業活動を進めていきます。

あいちサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチームへの参画
愛知県が策定した推進プランに基づくサーキュラーエコノミー推進モデルを具体化する7つのプロジェクトチームのうちの1つ、「プロジェクトチーム7:未利用木材循環利用モデル」に参画しています。本プロジェクトチームでは、木質廃棄物や未利用森林資源を有効利用するビジネスの創出・拡大を目指して、産官学を交えた検討会議を実施しており、活動は2026年までを予定されています。
当社は本プロジェクトを通じて、木質廃棄物のエネルギー利用及び間伐材や竹等の未利用木材を活用した環境に優しい製品の企画・製造を目指しています。

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